永久脱毛とは?一生毛が生えてこないことじゃないって本当?


一部のサイトでは、俄に「永久脱毛とは一生毛が生えてこないことではない」ということが言われていますが、これは本当なのでしょうか?また、永久脱毛の正しい定義とはどのようなものなのでしょうか?

今回は永久脱毛の正しい定義について解説していきたいと思います。

永久脱毛とは?

永久脱毛とは、生涯に渡って毛が生えてこないように意図的に体毛を除去する方法のことを指します。永久脱毛には二種類の方法があり、一つはニードル脱毛、もうひとつはレーザー脱毛です。米国食品医薬品局(FDA)は、ニードル脱毛によって実現する脱毛は「恒久的な毛髪の除去(permanent hair removal)」、レーザーの照射によって実現する脱毛を「恒久的な毛髪の削減(permanent hair reduction)」と分けて考えています。

恒久的な毛髪の除去(permanent hair removal)とは?

「恒久的な毛髪の除去」は、電気分解脱毛(ニードル脱毛)によってのみ実現する施術範囲内すべての体毛を永久的に除去する唯一の方法です。

ニードル脱毛とは、毛穴一つ一つに針を差し込み毛の組織を破壊する方法で、これによって毛の成長に関わる重要な細胞である「毛乳頭細胞」を破壊することで永続的な脱毛効果を得ることが可能になります。ただし、人間の体毛はおよそ500万本と言われています。読者の皆様がお察しの通り、ニードル脱毛によって全身の毛髪を削除するためには相当な時間と労力が必要であるため、理論上全ての毛を除去することができるものの、現実的な方法とは言いがたいです。

あくまで定義上、施術範囲内の全ての毛を永久的に取り除く唯一の手段として「恒久的な毛髪の削減」という表現がされているだけです。

恒久的な毛髪の削減(permanent hair reduction)

「恒久的な毛髪の削減」は、レーザー脱毛によって得られる方法です。「恒久的な毛髪の除去」と分けて考えられている理由について、FDAの公式サイトにて以下のように記述されています。

いくつかの製造業者はFDAの許可を受けて、レーザー脱毛は「永久的な除去」ではなく「永久的な削減」であると主張した。これは、これらの装置によるレーザーによる治療は体毛の総数を恒久的に減少させるが、すべての毛髪を永久的に除去しないことを意味する。「恒久的な毛髪の除去」は、「安定した、再成長する毛髪の数が、毛包の完全な成長サイクルの持続時間より長い時間にわたって安定していなければならず、体の位置に応じて4〜12ヶ月間変化する。恒久的な毛の減少は、必ずしも治療領域内のすべての毛の除去を意味するものではない。
Laser Facts – FDA

永久脱毛の仕組みでも解説した通り、レーザー脱毛はニードル脱毛同様、毛乳頭細胞を破壊することを目的としたものです。毛乳頭細胞は毛に栄養を送り成長させる役割を持つ細胞ですが、毛乳頭細胞は一度破壊されると二度と再生しないことが分かっているため、毛乳頭細胞を破壊すれば事実上、生涯にムダ毛が生えてこない状態にできるのです。

一見するとニードル脱毛と同じように見えますが、FDAがレーザー脱毛を「恒久的な毛髪の削減」と表現したことには理由があります。その理由とは、レーザーを照射したからといって、照射範囲内の毛乳頭細胞を全て破壊できるものではないということです。

なぜレーザー脱毛は恒久的な毛髪の除去ではないのか

レーザー脱毛は以下の画像のように毛髪が含むメラニン色素に吸収されることで熱を帯びる赤外レーザーを照射し、毛乳頭細胞を燃焼させるという方法で脱毛を試みるものです。

レーザー脱毛の仕組み

一見問題なく毛を抜くことができそうですが、この仕組みには問題があります。その問題とは、毛髪は毛周期によって毛乳頭細胞から分離するということ。FDAが公式HPで述べているように、私達の体毛一本一本は毛周期という成長サイクルを繰り返しており、これは数ヶ月単位で入れ替わります。全ての毛髪がバラバラに成長しているため、絶え間なく毛髪が生えてくることができているのです。

毛周期
黄色い粒のようなものが毛乳頭細胞だが、段階によって毛から分離していることがわかる。

上記画像のように、毛乳頭細胞は毛周期の段階に応じて毛髪から離れています。レーザー脱毛で使用される赤外レーザーははじめから熱エネルギーを持っているわけではなく、メラニンに吸収させなければ熱を帯びません。つまり、毛を熱くしてその熱エネルギーで毛乳頭細胞を破壊するという仕組み上、毛乳頭細胞が毛から離れてしまっている状態あるいは毛穴に毛がない状態では毛乳頭細胞を破壊することができないのです。

どうしても破壊できない毛乳頭細胞がある

毛周期は個人差もあり、ホルモンバランスによって変動するものです。例えば女性の場合、これまでは生えてこなかったのに産後に急にヒゲが生えたりすることがあります。これはホルモンバランスが乱れることでこれまで活性化していなかった毛穴の動きが活性化されることで生えてくるものです。

ここまで説明すればあとは答え合わせですよね?そうです。レーザー脱毛で100%の毛を削減することができないのは、人間の体の仕組み上長期間休止状態にある毛穴が複数あるためです。

レーザー脱毛は永久脱毛ではあるが、完璧に施術範囲内の全ての毛を除去できるものではないため、FDAは「削減(reduction)」という表現を使っているのです。

レーザー脱毛は90%程度の毛髪を永久脱毛する方法

アメリカの著名な医師であるDrホラソンは、ハフポストの取材で以下のようなことを述べています。

Drホラソン

レーザー脱毛は、80%〜90%の体毛を脱毛するために有効な手段だ。

裏を返せばレーザー脱毛では100%の毛を永久脱毛することができないということですね。

人間の体毛は常に10%〜14%程度が休止期にあると言われています。このため、レーザー脱毛は一定間隔で繰り返し施術を行うのですが、2ヶ月〜3ヶ月置きに照射を行った場合、だいたい全体の90%は削減できると言われています。(※毛周期には個人差があるため、一概には言い切れません)

繰り返しになりますが、長期間休止期状態にあるおよそ10%の毛穴にある毛乳頭細胞についてはレーザーでは破壊することができないため、100%のムダ毛を削減することができないのです。

ニードル脱毛のほうが良いってこと?

さて、どうせ脱毛するなら100%脱毛したいと思われることでしょう。しかし、実際問題日本で脱毛をしようとするとニードル脱毛の料金が高すぎます。以下の画像はTBCの公式サイトをキャプチャしたものですが、1本脱毛するために100円もかかります。

TBCニードル脱毛の価格表
引用:TBC

人間の体毛は一説ではおよそ500万本相当あると言われていますから、1本100円もするニードル脱毛で全身を脱毛しようとすると単純計算で5億円という莫大な資産が必要ということになります。とんでもない億万長者でもない限りニードル脱毛で全身のムダ毛を除去することなんてできません。

一方レーザー脱毛の料金は主要どころのクリニックなら30万円〜40万円程度です。このことから、より多くの毛を恒久的に削減するためには、レーザー脱毛が最も有効な手段であるといえるのではないでしょうか?

日本ではなぜ永久脱毛の意味が曲解されているのか

さて、日本で永久脱毛に関する解説をしているサイトは複数ありますが、その多くはアメリカ電気脱毛協会(AEA)の定義である毛髪の再生率が20%以下であることというものが使用されています。

しかしこれはあくまでニードル脱毛協会が主張するものであるため、マーケティング的な要素が非常に強いです。つまり真に受けるのはバカバカしいのです。また、日本ではエステ脱毛需要が高く、脱毛サロンもかなりグレーなマーケティングを行っています。

一方で国のほうは消費者を守るために脱毛サロンでは永久脱毛ができないことを医師法17条で定めています。

脱毛現象が生じるような強いエネルギーを照射するということは、全て医行為であると解釈しなければなりません。こうした医行為に該当するレーザー脱毛等を行った場合、医師でない施術者が医師法違反に問われるのみならず、脱毛器の製造・販売会社も薬事法違反に問われる可能性があります。さらにエステ脱毛は、衛生上の不利益を生じさせるおそれもあります。
エステ脱毛は医師法違反だ! – 日本美容医療協会

このため、脱毛サロン関係者は苦し紛れに「光脱毛でも一定期間内の減毛量は永久脱毛の定義を達成している」とか、「レーザー脱毛も永久脱毛ではない!」という因縁をつけているのです。

ここまで解説してきたようなことが広まれば、レーザー脱毛とほとんど料金が変わらなくてさらに永久脱毛もできない脱毛サロンに通いたいとは誰も思わなくなりますからね。

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