「若白髪はハゲない」は嘘!?最新の研究でわかった白髪と脱毛症の関係

「若白髪は将来ハゲにくい――。」迷信のように様々なところで言われていますが、実はこのように言われている根拠はありません。しかも、最近の研究によって若白髪はハゲやすい可能性まで出てきたのです。今回は、「脱毛」からは少し脱線しますが、若白髪と脱毛症の関係についてご紹介していきたいと思います。

若白髪はハゲやすい!?

若白髪がハゲやすいということを説明するためには、まずは毛の仕組みについて理解していただく必要があります。少し小難しい話が続きますが、頑張ってついてきてくださいね!

毛の成長プロセスについて知る

毛の構造
Hair papillaという部分が毛乳頭細胞

そもそも私達の体から生えてくる毛は、ワキ毛だろうが髪の毛だろうが指毛だろうが、同じ仕組みで抜けては生えて…ということを繰り返していることをご存知でしたでしょうか?

簡単に毛の成長プロセスを解説しておくと、以下の通り。(詳しくは後ほど解説します。)

  1. バルジ領域で幹細胞が生成される
  2. 幹細胞が毛母細胞を生成し、毛乳頭細胞に付着する
  3. 毛母細胞は毛乳頭細胞から栄養を受け取り、成長していく
  4. 毛穴から毛が出てくる
  5. ある程度まで成長すると、毛乳頭細胞が毛母細胞から離れる
  6. 毛乳頭細胞から栄養を受け取れなくなった毛は、弱っていく
  7. 弱りきった毛が抜ける(1に戻る)

この一連の流れを毛周期(英:hair cycle)といいますが、図にすると以下のようになります。
バルジ領域の働き

さて、話を戻しますが、若白髪と脱毛症の関係で重要になってくるポイントは、「幹細胞」です。この幹細胞が毛髪の発現においてどのような役割を担っているかについて、以下で簡単にご紹介していきます。

毛のもとになる幹細胞という存在

上記図を見ていただくとわかるとおり、私達の体から生えてくる毛は、何もないところから生まれるものではなく、幹細胞というものがもとになって発現します。幹細胞といえばSTAP細胞やiPS細胞などでもおなじみのものですね。簡単に言えば、細胞の元になる材料のようなものです。

――毛を構成する幹細胞には2種類が存在しており、これらは毛穴一つ一つで貯蔵されています。この貯蔵されている場所のことをバルジ領域と呼びますが、健康的な毛穴では幹細胞はバルジ領域の中で自己複製を繰り返しています。勘の良い方はおわかりかもしれませんが、この幹細胞が一定数維持されている限り毛はなくならないとも言えるのです(※ただし毛乳頭細胞が破壊された場合を除く)。幹細胞は後ほど解説する「ある条件下」では自己複製をすることが可能であるため、健康体である場合は常にバルジ領域に常に一定数貯蔵されることになるのです。

2種類ある幹細胞

さて、この幹細胞は2種類存在しています。一つは毛包幹細胞といって、毛の形を決める遺伝子を持った幹細胞、もう一つは色素幹細胞といって、毛の色を決める遺伝子を持った幹細胞です。この2つの幹細胞が合わさって毛母細胞が生成されます。逆に言えば、毛包幹細胞がなくなれば毛は形を維持できなくなり、逆に色素幹細胞がなくなれば、白髪として色素情報を持たない毛が発現するということが考えられます。

つまり、脱毛症の人は毛包幹細胞が、白髪の人は色素幹細胞がなんらかの原因で生成されていないという可能性が高いのです。

幹細胞が維持される仕組みが明らかに

最近まではこの幹細胞やバルジ領域というものが毛髪の発現において、どのような役割を持っているのかが不明でした。しかし最近になって、東京医科歯科大学の西村栄美教授らの研究によって明らかにされました。

この研究成果を発表したプレスリリースの一部を引用すると、以下の通り。

17型コラーゲンが白髪と脱毛を抑えており、欠損すると毛包内の2種類の異なる幹細胞間での相互作用による幹細胞維持機構が破綻するため、白髪や脱毛を発症することを明らかにしました。
(中略)
今回、毛包幹細胞が17型コラーゲンを高レベルで発現しており、毛包幹細胞の幹細胞性を維持するという役割を持つと同時に、毛包幹細胞が色素幹細胞のニッチ細胞として機能するためにも必須であること、これらの役割により白髪と脱毛を抑えていることが判明しました。そのメカニズムとしては、毛包幹細胞がTGF−βシグナルを介して色素幹細胞の未分化性や休眠状態を促進制御していることによるもので、17型コラーゲンを欠損するマウスでは、毛包幹細胞におけるTGF−βの発現が早期から失われ、隣接して存在する色素幹細胞におけるTGF-βシグナルが入らなくなるために色素幹細胞を維持できなくなり若白髪になること、毛包幹細胞を含む基底細胞でのみ17型コラーゲンを発現させると一連の異常がすべて回復することが判明しました。
毛包幹細胞が色素幹細胞を維持する仕組みを解明 – 東京医科歯科大学

毛の幹細胞
引用:東京医科歯科大学

簡単にまとめると、17型コラーゲンを欠損したマウスは白髪や脱毛症の症状が見られ、17型コラーゲンを発現させると、白髪や脱毛症が回復することが判明したのです。要するに、脱毛症の人は17型コラーゲンという人間が体内で自己生成することができる物質が欠損しており、それが原因で幹細胞が自己複製できない状態になってしまう可能性が高いということです。

研究はマウスを観察することで行われたものであるため、人体にも同じことが言えるとは限りませんが、哺乳類の毛の仕組みはほとんど同じ仕組みであるため、人間の髪の毛にも同じことが言える可能性が非常に高いです。

白髪や脱毛症の原因は17型コラーゲンの欠損

もうおわかりかと思いますが、この研究結果によって白髪も脱毛症も「17型コラーゲンの欠損」という同じ理由からくるものである可能性が示唆されたのです。つまり、若白髪の人は17型コラーゲンを体内でうまく生成できていない可能性が高く、それは脱毛症を引き起こす可能性が高いということです。

残念ながら17型コラーゲンが欠損する理由については科学的にはわかっていませんが、喫煙やストレスによって白髪が増えるというのは、「喫煙やストレスによって17型コラーゲンの生成がうまく機能しなくなる」と考えれば妙に納得感がありますね。

若白髪の人はハゲを予防することができるのか?

さて、「若白髪はハゲる可能性が高い」ということがわかった皆さんとしては、「やべぇ!早くなんとかしないと!」などと思われるかもしれませんが、残念ながら17型コラーゲンは外部から摂取しても意味がないと言われています。

――ではどうすれば良いのか? それは、17型コラーゲンがしっかりプールされる状態を保つことです。

幹細胞が枯渇すればアウト

冒頭でもご紹介した通り、幹細胞というのは自己複製を繰り返します。要するに、1つでも幹細胞が残っていればまだ可能性があるということですね。しかし幹細胞が枯渇してしまうと、いかに17型コラーゲンを生成しようとも意味がなくなってしまいます。――断言はできませんが、現時点で判明しているバルジ領域の仕組み上、「幹細胞が枯渇すればアウト」という理論は概ね正しいと考えられます。

17型コラーゲンは外部から摂取できない

さて、この研究結果を受けて意地汚い企業やプロブロガー達は「17型コラーゲンを摂取すればいいんだ!この商品を買いなさい!」などという記事を書いているようですが、17型コラーゲンはサプリメントや塗布によって摂取しても意味がないと言われています。

東京医科歯科大学でも、化粧品会社の商売のやり方に呆れて以下のような注意喚起をしていますね(笑)

「17型コラーゲン」は通常のコラーゲンとは性質が異なるものです。当研究室が確認した限り、市販されている製品の中に「17型コラーゲン」を配合しているものはなく、当研究室では17型以外のコラーゲンもしくは「17型コラーゲン様」の物質については薄毛・脱毛に対する効果を確認しておりません。
「17型コラーゲン」は、一般的に知られるコラーゲンとは異なる膜貫通性コラーゲンであり、毛包細胞表面に結合してのみ効果を発揮するものです。当研究室の研究成果は、17型コラーゲンを頭皮に直接塗布したり、食品として摂取したりすることによって、薄毛・脱毛に対して改善の効果を与えることをうたったものではありません。
【17型コラーゲン】に関連するとされる化粧品・健康食品等への注意喚起について – 東京医科歯科大学

17型コラーゲンの維持には健康的な生活が重要

さて、外部から摂取できないということはやはり「健康的な生活」を送ることで体内で生成されるような環境を作り出すことが最も大事だということになります。17型コラーゲンが減少する理由がわかっていない現時点では、白髪が生えてきやすくなる状態を作り出さないということが最も効果的なハゲの予防方法と言えるのです。

  • バランスのとれた食事
  • 喫煙や飲酒は控える
  • 適度な運動
  • ストレス発散

このあたりが具体的な白髪、ひいてはハゲの予防方法となる可能性が高いのです。

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 2019年4月7日
CATEGORY : コラム